2013年6月19日水曜日

出し切れない悲しさ…

字幕をつけていてたまにちょっと悲しいのは、字数制限でキャラクターの特徴を出しきれないこと。最近担当した作品の中にクソまじめでちょっとマヌケな刑事が登場しました。大まじめな顔で的外れなことを言ったり、回りくどく当たり前のことを力説したりする愛すべきおバカさんです。このおバカさんがボケても周りはスルー。ツッコミも何もありません。ところが、これが困るんです!
原音を直訳しても面白くないし、ちょっとひねると“まとまりのない悪い字幕”と思われてしまいます。かといって演出がすぎると周りの反応と合わなくて違和感が…。
そこで周りが反応していないのをいいことに、面白みのない言葉に訳してしまえば楽ちんなのですが、それではキャラの個性を完全に奪い去ってしまいます。

刑事がまじめな愛すべきおバカさんであると伝えつつ、違和感のない字幕をなんとか練り出す。これができないと、キャラを出し切れず悲しい字幕になってしまうのです。

では、愛すべきおバカさんのキャラが表れるシーンを1つ。これはツッコミが入るので、少し訳しやすいかな。(実際のスクリプトと変えてあります)

①刑事の上司  この男を使って、スミスを逮捕するわ。
(I’m going to use this guy to bring Smith to justice.)

②バカ刑事  それは無理です。(That’s not possible.)

③バカ刑事  それじゃ“vinegar”と韻を踏む言葉を探そうとするようなものです。
(That would be like trying to find a word that rhymes with vinegar.)

④刑事の上司  “miniature”がある。(Miniature.)


ちなみに字数制限はそれぞれ①15文字、②4文字、③8文字、④4文字です。

さて、みなさんならどんな訳をつけますか?   yoko

0 件のコメント: