2014年7月1日火曜日

翻訳者は黒子!?

izumiです。
今年上半期のビッグイベント、IJET-25が大盛況のうちに終了しました!
エンターテインメント枠でお呼びしたスピーカーは3人。字幕翻訳家の石田泰子さん、吹替演出家の岩見純一さん、日本映像翻訳アカデミー代表の新楽直樹さん。どのセッションも熱く気迫あふれる内容で、分野の違う参加者にも大好評でした。各セッションの詳しい内容は、JATENTの長尾氏が秒速ツイートでまとめているので、そちらをご覧ください♪

IJET-25定点観測 http://togetter.com/li/686344


今回のセッションでもっとも私の心に響いたのが、石田さんの「脚本に寄り添う」という言葉でした。字数制限の厳しい字幕では、すべての情報を翻訳することは不可能です。だからといって、安易に意訳してはいけない。脚本に寄り添い、黒子となって伝えるのが翻訳者であり、どうしても必要なときは「涙をのんで意訳する」という話でした。実際、うまい翻訳者さんの字幕は、大きく意訳しなくても必要な情報を伝えています。石田さんの話を聞きながら思い出したのは、ある文芸翻訳者の「一言入魂」という言葉でした。その方の造語で原文の訳ひとつひとつに魂を込めるという意味で説明されていましたが、私は「字幕に当てはまらない言葉だな」と感じていたのです。

字幕はあくまで映像作品の理解を助けるために付けるもので、作品の邪魔をしないことが大前提。視界の端っこでサラッと流して見てもらえるのが理想です。もちろん、作品のヤマ場や決めゼリフは意識して訳します。でもそこで「入魂」しすぎると、その字幕だけが全体から浮いてしまいがちです。また、「このセリフにピッタリ!」と思って作った字幕も要注意。思い入れのある字幕ほど、主張しすぎて浮いてしまうことが多いのです。石田さんも「捨てる勇気が必要」とおっしゃっていました。(字幕の断捨離!)


実はこの「翻訳者は黒子」と似た考えは、違う分野の方からもたびたび聞いていました。第一線で活躍する方ほど、翻訳の跡を残さないよう努力をしているように思います。その技術たるや、まさに忍術!そういう忍術を目の当たりにすると、自分にはまだまだ修行が足りないと思い知ります。


脚本に寄り添い、真意をくみ取り、もがいて練って作り上げた字幕をサラッと出す。少しでも浮けば潔く捨てる。視聴者に「あれ?字幕あったっけ?」と思わせたら任務は大成功!これぞ黒子翻訳者の極意なり。まずは「意訳に逃げない」を信条に黒子道を極めるべく、下半期も突き進みます♪

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